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小倉城庭園で「平野遼の余技展」-希少水墨画47点展示

約80点現存する水墨画作品のほとんどを前期と後期に分けて展示した

約80点現存する水墨画作品のほとんどを前期と後期に分けて展示した

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 小倉城庭園(北九州市小倉北区城内1、TEL 093-582-2747)で2月から開催されている絵画展「平野遼の余技(よぎ)展-画家の茶室-」の展示品が入れ替えられ、3月11日、後期展示が始まった。

妻・清子さんが点(た)てるお茶を創作の合間に楽しんだ平野遼愛用の茶碗と釜

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 約30坪の展示室に、水墨で描かれた風炉先(ふろさき)びょうぶや掛け軸、愛用の茶器、妻・清子さんのために絵付けした帯など47点を展示している。油彩の抽象画家として知られる平野遼は、数多く描いた油絵の「本技(ほんぎ)」に対し、古美術商の家に生まれた清子さんとの出会いにより描くようになったびょうぶなどの水墨画を「余技」と読んだ。

 戦後の貧しい時期から描き続け、作品が評価され著名になってからも小倉に住み続け多くの作品を残した平野は地元の支援者も多く、美術館所蔵などの油絵作品を目にする機会は多い。今回の展示では「油彩で高く評価されている平野作品だが、こうした水墨画は世に余り出回っておらず、残されたほぼ作品全体を鑑賞できる機会はこれまでなかった」と展示を企画したNPO法人「創を考える会・北九州」の三万田巧さん。「平野をよく知らない人にとって『暗い、怖い』と思われがちな油彩の作品に対して、茶文化に寄り添った水墨画は、モチーフにする人物や小鳥の描き方、余白の使い方など、平野のまた違った魅力にあふれている」とも。

 晩年の、旅先で記憶にとどめた風景を描いた「広場にて」など、「写真を撮って模写するのではなく、数年間記憶の中で熟成させた映像を一気に描いた」(三万田さん)「六曲一双びょうぶ」(後期は左隻のみ)などの大型作品も展示。

 開館時間は9時~17時(4月以降は18時まで)。観覧料は、一般=300円、中高生=150円、小学生=100円。4月13日まで。

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