魚町銀天街の老舗居酒屋「武蔵」(北九州市小倉北区魚町1、TEL 093-531-0634)が6月、開業から65周年を迎えた。創業は1953(昭和28)年。
北九州市制誕生からさかのぼること10年、旧小倉市時代に現在の店主・本郷尚義さんの父で、先代の創業者・本郷義澄さんが、小倉駅が室町から移転(1958年)することを見越して開業した。店名は「うまさと安さで日本一を目指す」との願いを込めて義澄さんが名付けた。店舗面積は約40坪、席数は1階のカウンター20席と2階の座敷80席の合計約100席。
尚義さんは、「25年ほど前に先代から経営を引き継いで以来、(増税時を除いて)メニューを値上げした記憶が無い。低価格路線で何も新しいことはせず、できることだけを淡々と続けている。会社帰りのサラリーマンらが肩肘張らずに楽しめる店を目指している」と言い、近年、若者向けの飲食店が急増した魚町かいわいでも独特の存在感を放っている。
厨房の仕込み作業をする久保チエノさんは創業当初から勤務する従業員で、65年にわたる歴史の生き証人でもある。かつては昼前に開店し、沿岸の工場に3交代で勤務する労働者らが仕事を終えて集うにぎやかな店だったという。近年は、連日サラリーマンのグループでにぎわっており、10年ほど前に2階の座敷を「掘りごたつ形式」に改修しただけで、創業当初から続く庶民の酒場の姿をほぼそのまま伝えている。
主なメニューは、「生ビール」(324円)、「鳥皮酢」(216円)、「豚串かつ」「このしろ」(以上270円)、「しめサバ」「手羽先唐揚げ」(以上432円)、「寄せ鍋」(648円)、「刺し身盛り合わせ」(1,080円)など。
営業時間は16時30分~22時30分。日曜・祝日定休。現在、来店客に65周年の記念品として「ぐいのみ」を配布している(数量限定)。