小倉・魚町銀天街の「北九州まなびとESDステーション」(北九州市小倉北区魚町3)で3月15日、アフリカの子ども兵士問題をテーマにした映画「ニンジャ&ソルジャー」上映会が行われ、市民ら約30人が参加した。北九州市が主催する「地域共創イベント2014『生きる!』」の一環。
昨年の「ベルリン国際映画祭」にノミネートされた同作品のプロデューサー袋康雄さんが、コンゴの子ども兵士の社会復帰に取り組むNPO法人「テラ・ルネッサンス」(京都府京都市)代表の鬼丸昌也さんと出会ったことがきっかけで約10分の短編アニメーションを制作。上映会後は2人によるトークも行われた。
鬼丸さんは、大学在学中の2001年から「カンボジアの地雷撤去支援」の活動を始め、2005年にNPO法人化。世界各地の紛争問題・災害支援に取り組み、現在はコンゴの子ども兵士に着目。子ども兵士に識字訓練や農業技術などを教え、社会復帰を支援する職業訓練センターを現地に設立し、「これまで149人の子ども兵士を社会復帰させた」という。
子ども兵士が生まれる背景は「現地で繰り広げられている紛争は、民族間の争いではなく実はレアメタルや金、ダイヤなど鉱物資源の争奪戦。レアメタルは毎日使うパソコンやスマートフォンに内蔵されており、日本人のわれわれも間接的に関係している」と話す。「子どもらは村から誘拐され、兵器の取り扱いを訓練された後、生まれた村を襲わせて帰る場所を失う。そんな子どもたちに仕事を与え、誰かの役に立てたという実感を提供することで無気力だった子どもたちが社会復帰できる」と鬼丸さん。
袋さんは「話を聞いた当初、遠く離れたアフリカのことで自分には関係ないという思いがあったが、同時に心の底に横たわる『差別意識』を感じた。人間誰でも潜在的に持っている差別を映像にした」といい、見終わった参加者らは一様に重い表情を浮かべた。
鬼丸さんは「近年、兵器が小型化され、子どもの体力でも十分使用できることも背景にある。そうした兵器を作り出す軍事産業へ投資する銀行や、紛争地域からレアメタルを入手しているメーカーなどの存在を知ることで、私たちは選ぶことができる。われわれは微力ではあるが無力ではない」と説いた。