千草ホテル(北九州市八幡東区西本町1、TEL 093-671-1131)で4月4日から、「中庭アートプロジェクト 山内光枝(てるえ)展『イルギ』が始まった。
「イルギ」は、韓国語で日記の意味。鐘崎(=かねざき、宗像市)や韓国・釜山の海女(あま)との出合い、共に漁をした思い出や、チェジュ島の「海女学校」での生活、フィリピン・ミンダナオ島での海女漁の様子などを、写真とエッセーでつづった日記風の作品約20点を、カフェレストランのテーブルにディスプレーする同展。ほかにも、実際に山内さんが漁で使った浮き網やロープを中庭につるして展示する。
山内さんは、「学生時代に出合った本『海路残照』で、西日本の海女漁のルーツが故郷の福岡県にあることを知り、生命力の強い海女の姿やその世界の掟(おきて)、海女との交流を通じた化学反応を追い求めるようになった」という。作品は「海を手掛かりに人間の根源的な感覚や記憶を探っている」という。
2008年から始められたアートプロジェクトのシリーズ16回目で、一貫したテーマとして「アート・ホスピタリティ」を掲げている。当初から参画するキュレーターの花田伸一さんは、「日本と韓国は、昨今の政治的には少し問題も抱えているが、人々の交流や日々の営みには境目がないこと。いま、口にしているものがどういう経路でやってくるのかを知ってもらうきっかけになれば」と話す。カフェでは、鐘崎漁港で揚がる「メカブ」を使ったスパゲティや、海水を使った「塩バニラアイスクリーム」なども販売する予定。
5月6日、山内さんと同プロジェクト・キュレーターの花田伸一さんによる「アーティストトーク」も行う予定。
営業時間は11時15分~20時。観覧無料(カフェ・レストランのオーダーは別途必要)。6月28日まで。