「小倉第一病院」(北九州市小倉北区真鶴2)の看護師でイラストレーターの松井真理子さんが描きためたイラストなどの制作物が10月、3000点を超えた。
松井さんは、2003年までタウン誌「おいらの街」で有名人似顔絵の表紙イラストを描き続けていたが、同年看護師を志し看護専門学校に入学。同病院の職員が講師として学校に派遣され松井さんと出会い、院長の中村秀敏さんに「とても絵の上手な生徒がいる」と話したことがきっかけで就職が決まった。
中村院長は「それまではフリー素材を使って広報物を作っていたが、表現の限界がある。身近にイラストレーターがいることで細かな指示ができ、適切なものに仕上がると思い、採用を決めた」と振り返る。
松井さんは、2007年から看護師として勤務する傍ら、同病院のマスコットキャラクター・ハッピーちゃんのデザイン開発や、患者向けの説明などをイラストで表現する仕事をしてきた。近年は「広報室」が設けられ、「医療福祉デザイン学科」卒の岡崎五月さんとともに、病気の図解説明や医療機器の使用方法、スタッフへの教育資料、講演会のポスター作成などを手掛けている。「病院に来る患者さまは視力が弱っている場合が多く、輪郭をはっきりさせた分かりやすい表現に」工夫している。
これまで描き上げたイラストなどは院内LANに設置されたサーバーに格納し、ほかの看護師や医師が利用できるようにしており、院内の掲示物のほとんどに使われている。院内だけでなく、近隣の商店主らの依頼も「たまに受け付けている」とも。
中村院長は「この規模で広報室を持っている病院は少ないと思う。イラストでの表現は病院と患者との距離を縮めることができる、今後は看護師や医師の人材確保、さらには患者確保のためには必要な部署だと実感する。大手の病院ができない取り組みをしていきたい」と期待を込める。