「北九州空港」(北九州市小倉南区空港北町)にピアノを設置しようとする民間のプロジェクト「北九州空港ピアノ」が10月30日、発足した。
欧米を中心とした諸外国では、空港のロビーや主要ターミナル駅のコンコースなど、自由に弾くことができるピアノが設置され、通りかかりの旅行客が演奏することで、自然と聴衆の輪ができ音楽を楽しむ文化が根付いている。NHK-BS1のドキュメンタリー番組「空港ピアノ」や「駅ピアノ」では、各地のピアノを定点カメラで捉え、旅の思い出などを鍵盤につづる旅人が多く紹介されている。
主宰は、社会課題や地域課題に取り組む企業や個人を支援する団体「ソシオファンド北九州」(小倉北区魚町4)。プロジェクトの発起人で同団体のメンバー・菅恒弘さんは「以前、何気なく通りかかった人が楽しそうに弾くピアノで、周囲の人が自然と笑顔になる『駅ピアノ』の動画を見た。こうしたちょっとした仕掛けで楽しいなと思わせる空間が北九州にもあればいいなと思った」と、発足のきっかけを話す。菅さんは、同空港を管理・運営する「北九州エアターミナル」の協力も取り付けた。
発足に当たって行われたワークショップには市民約20人が参加し、「弾くとマイルがたまるような仕組みに」「機長やキャビンアテンダントに弾いてもらいたい」などのPRアイデアが出された。
近隣では、2020年「東京オリンピック・パラリンピック」でオランダのホストタウンとなっている佐賀県が、「ピアノの駅」プロジェクトとして、8月「新鳥栖駅」(佐賀県鳥栖市)に、9月「小城駅」(小城市)にピアノを設置したことも話題になった。
寄贈されるピアノも見つかった。魚町の日本茶専門店「辻利茶舗」(魚町3)社長の辻史郎さんは「母が高校に入学した50年以上前に祖父からプレゼントされ、自宅で眠っていたピアノが、空港を行き交ういろんな人々と第二の人生を歩むことになってうれしい」と話した。
今後、空港管理事務所と設置箇所や時期の調整を行っていく予定。