北九州在住で、難病PLS(原発性側索硬化症)を患っている落水洋介さんが2月、障がい者と一緒に働ける環境づくりとして「水耕栽培ニンニク」事業をスタートした。
落水さんは、30歳当時の2013(平成25)年に発病し、少しずつ手足や口が動かなくなっている。現在は、市内の小中学校へ「障がい者となっても夢を持ち続けることの意義」を説く出前授業や、講演などの活動を続けている。
自らが障がい者となって「(障がい者は)働ける場所が限られ、収入も少なく、選択肢が限られる」と気付いたことから、正当な収入が得られ、前向きに人生を歩んでいける場所をと、友人所有の倉庫(北九州市八幡西区友田)を借り受け、事業を始めた。
「おもやいファーム」(若松区畑)の協力を得て、ニンニク栽培方法伝授などの支援を取り付けた。同ファームは、普通就労をする障がい者を多数雇い入れており、障がい者雇用への理解もあった。通常のニンニクは発芽前の球根の状態で出荷されるが、同ニンニクは芽吹くことで鉄分や亜鉛、マグネシウムなどのミネラル成分を多く含むことが特長という。
落水さんは「数年後、自分は寝たきりになる。発病前は想像すらしなかったことが今、自分の身に起きている。誰にでも起こり得ることで、身近な家族や友人が突然障がい者になるかもしれない。こうした中、障がい者の働く環境づくりは外せない。お互いさまの世の中にしていきたい」と、脳梗塞を患った同級生にも声掛けし、動き出した。
事業開始に向けクラウドファンディングにより資金調達を行っている。リターンにはニンニクのほか、落水さんの著書「難病がくれた宝物」などを用意する。