昨年秋に閉店した小倉焼きうどんの発祥店「だるま堂」(北九州市小倉北区魚町1)が7月23日、復活オープンした。まちづくり団体「小倉焼うどん研究所」が経営を受け継いだ。
「だるま堂」は、初代店主の弁野勇次郎さんが、戦後の物不足の時代に比較的入手しやすかったうどん乾麺を使って焼きうどんを作り始めた発祥店として知られている。
前店主の坂田チヨノさんが亡くなったことで昨年から閉ざされていたが、店のオーナーで弁野さんの妻・文子さんの快諾を得て、同研究所が受け継いだ。店名だけでなく、約70年間培った看板メニューのレシピも再現した。
同研究所は、「小倉焼うどん」を通じたまちづくりをテーマに2001(平成13)年発足。「第7回B-1グランプリin北九州」の開催や、麺が入った容器を並べた数を競うギネス世界記録への挑戦、熊本地震や九州北部豪雨被災者への炊き出し活動などを行ってきた。
店舗の再開に当たり、クラウドファンディングでの資金調達や「西日本工業大学」デザイン学部の学生らによる装飾デザインなど、周囲を巻き込む店作りにも取り組んだ。店舗面積は約5坪、カウンター4席に加え、これまで使われてこなかった2階にもテーブル10席を用意した。
メニューは、「だるま堂焼うどん」(500円)に加え、同研究所が「約20年間イベント出店などで好評を得てきた」(研究所主宰の竹中康二さん)オリジナルレシピ「研究所焼うどん」(550円)も加えた。ほかに、焼きうどんに半熟目玉焼きをのせた「天窓」(600円)、「研究所天窓」(650円)、「卵かけご飯定食」(350円)など。
かつて門司に工場があった「サッポロビール」の「ラガービール」(中瓶550円)や、大正時代に製造されていたビールを復刻した「サクラビール」(600円)、「デュワーズハイボール」「レモンサワー」(以上450円)などのアルコールも提供する。
オープン前日、店に立ち寄った弁野文子さんは「(開業後約70年間)ほとんど手を入れていなかった店が、こんなにきれいになるとは」と目を細めていた。竹中さんが作る焼きうどんも「合格」と太鼓判を押した。
営業時間は11時~18時(木曜・金曜・土曜は21時まで)。水曜定休。