プレスリリース

循環器内科医師小島淳先生監修!65歳以上の高齢者で急増する「心不全」新たな要因は大気汚染にあった!?

リリース発行企業:株式会社桜十字

情報提供:

医療・介護・予防医療を軸にウェルビーイング・フロンティアを目指す桜十字グループは、
「人生100年時代の生きるを満たす」を実現するため、
日々の生活に役立つライフハックをお届けする「SAKURA LIFE TIPS」を配信しています。

冬に向けて、空気中のPM2.5や花粉への関心が高まる季節となりました。寒さや乾燥に加え、微粒子による呼吸器や循環器への影響も無視できません。実際、PM2.5は心臓や血管に負担をかけ、心不全のリスクを高めることが知られています。
こうした中で、私たちが直面している大きな健康課題の一つが「心不全パンデミック」です。日本の高齢化に伴い心不全患者が急増している現状を示す言葉です。心不全を防ぐための予防と早めの対策が、日々の暮らしで重要になっています。
*POINT*
- 親世代のSOS! 高齢化で「心不全パンデミック」が進行中。家族の健康を守るためには?
- 大気中の「見えない敵」 新たな研究で、排気ガスなどに含まれる「すす(ブラックカーボン)」が心筋梗塞のリスクと判明!
- 持病でリスク増!? 高血圧や糖尿病があると、大気汚染が心臓への“リスクバーデン※”につながる!?
- 「治す」から「防ぐ」へ! 発症を待たず、日常からリスクに気づき、早めの対策がカギに!
- 今日からできる心臓ケア『食事・運動・睡眠』の習慣と、健やかな生活環境を整えることが、最大の予防に!

※心不全の発生に寄与するリスク因子の『総合的な負荷』を定量的に示す概念
12月から検索数が急増する「心不全」とは?
心不全とは、心臓に何らかの負担や異常が生じ、血液を送り出す“ポンプとしての力”が低下してしまう状態をいいます。全身の臓器に十分な血液を届けようと、心臓はしばらくのあいだ無理をして働き続けますが、その状態が続くと次第に疲れてしまい、正常に機能しにくくなっていきます。
心不全は、病気の名前ではなく、心筋梗塞や弁の異常、心筋症、高血圧など、さまざまな心臓の病気や負担が積み重なり最終的に起こる状態を指します。
心臓の力が弱くなると、血液が全身へうまく送り出せず、肺の血管に血液が滞り、動いたときに息苦しさを感じたり、全身の血流がスムーズに流れにくくなると、足や顔がむくむ(浮腫)などの症状として現れます。
社会課題の「心不全パンデミック」
現在、日本の心不全患者数は高齢化と共に急増しており、この現象は「心不全パンデミック」という言葉で社会的にも大きな注目を集めています 。30~50代の方にとっては、自分自身の健康はもちろん、親世代の健康も気になる、日々の暮らしに直結した重要なテーマです。
これまでの心臓病リスク管理は、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった危険因子、あるいは食生活や運動不足、喫煙といった個人の生活習慣に焦点が当てられがちでした。しかし、心臓の健康を守るためには、現在ではそれだけでなく、「環境要因」にも目を向けるべき段階に来ていることが、最新の研究から明らかになっています。私たちが日常的に触れている大気環境など、見過ごされがちな日常の環境が、私たちの心臓に静かに負担をかけている可能性があります。
【監修医師】小島 淳(こじますなお)先生桜十字八代リハビリテーション病院 副院長
熊本大学 客員教授
一般社団法人くまもとハートの会  代表理事
専門:内科・循環器内科
経歴:前川崎医科大学総合内科学3教室(循環器内科・腎臓内科) 主任教授

小島先生は、循環器内科の専門医として、心不全治療の最前線で活躍しながら、環境要因が心血管疾患に与える影響に関する研究を進め、これまでに黄砂やPM2.5濃度と循環器疾患の関連についても報告しています 。





新たなリスク要因は大気汚染にあった!?
「目に見えない脅威」が、私たち、そして大切な家族の心臓に、今この瞬間も静かに忍び寄っていることをご存知でしょうか。その脅威こそが、大気中に漂う粒子状物質であるPM2.5です。

大気汚染物質の一つであるPM2.5は、直径2.5μm以下という非常に小さな粒子で、肺の奥深くまで入り込むため、健康への影響が懸念されています。欧米を中心に多くの疫学研究が行われ、PM2.5が呼吸器疾患や循環器疾患、さらにはがんの発症にも関係している可能性が指摘されてきました。

このたび、桜十字グループ、東邦大学、国立環境研究所、熊本大学、日本循環器学会による合同研究チームは、日本循環器学会が管理する大規模臨床データ(循環器疾患診療実態調査:JROAD)を用いて、大気中のPM2.5およびその構成成分が急性心筋梗塞に与える影響を調べました。また、PM2.5およびその構成成分のデータとして、環境省が2017年に全国10地点へ設置した連続自動測定装置による測定結果が使用されました。

2017年4月から2019年12月までに急性心筋梗塞と診断された44,232例を対象としており、入院当日および前日のPM2.5濃度が四分位範囲(7.9μg/?)上昇すると、急性心筋梗塞のリスクが2.4%増加することが確認されました。
さらに、研究チームが注目したのは、PM2.5を構成するさまざまな成分の中でも、特にブラックカーボン(黒色炭素)です。ブラックカーボンとは、主に自動車の排気ガスや、石油・石炭などの燃焼によって発生する「すす」を主成分とする微細な粒子です。
驚くべきことに、総PM2.5濃度と同様に、このブラックカーボン濃度の上昇についても急性心筋梗塞との関連が認められました。これは、「ブラックカーボンが心筋梗塞発症の新たな環境リスク因子となる可能性」を国内で初めて示した先駆的な研究成果です。

この研究は、欧米で蓄積されてきた知見を日本でも裏付けるとともに、 PM2.5の構成成分であるブラックカーボンに焦点を当てた解析としては世界的にも先進的な試みです。「目に見えない汚染物質が心臓のリスクを高める」という新たな知見を提示し、今後の国内外の環境保健政策に影響を与えるものとなりました。

【小島先生からのコメント】
今回の研究は、「空気の質」が私たちの心臓に与える影響を国内データで科学的に示した初めての成果です。PM2.5やその構成成分の一つであるブラックカーボンといった目に見えない粒子が、心筋梗塞のリスクをわずかにでも押し上げている可能性は無視できません。これらは誰もが日常的に吸い込むものであり、都市部だけでなく地方でも注意が必要です。健康を守るためには、個人の生活習慣と同時に、社会全体で環境改善に取り組む視点が必要です。
心不全パンデミックと生活環境の関連性
ブラックカーボンが心筋梗塞に関与する可能性について、研究チームは複数の経路を推測しています。
具体的には、肺での炎症や酸化ストレスの誘発、血液中への微粒子移行の促進、腸内細菌叢の乱れ、自律神経のバランスの崩れなどです。空気中の微細な粒子が体内に入り込み、私たちの身体に静かで着実な負担を与えた結果、血管や心臓に影響を及ぼし循環器疾患を発症する可能性があるのです。

今回の研究では、PM2.5全体に占めるブラックカーボンの割合はわずか3%にもかかわらず、急性心筋梗塞との関連が認められたことから、総PM2.5濃度とともにブラックカーボンに注目すべきであることが示されています。

高血圧や糖尿病、脂質異常症や喫煙は、動脈硬化を進める代表的な危険因子です。これとは別に大気汚染などの環境要因が“リスクバーデン”となり、心疾患の発症や増悪につながる可能性があります。私たちは、呼吸や睡眠、日々のストレスといった身近な要因も、心臓の健康に影響していることを理解し、環境と生活の両面から心臓を守る意識を持つことが大切です。

「心不全パンデミック」は、家族の健康にも直結する、身近で現実的な課題であることを認識し、日頃から予防への意識を高めることが求められています。

【小島先生からのコメント】
PM2.5の中でもブラックカーボンは特に健康被害に影響を及ぼす成分であり、急性心筋梗塞や心不全発症に関わる可能性があります。肺で生じた炎症や酸化ストレスが全身に波及し、血管や心臓に負担をかけると考えられます。重要なことは、 PM2.5やその構成成分であるブラックカーボンが高血圧や糖尿病などのリスクを修飾する因子として働く可能性があることです。つまり、環境と生活習慣が重なることで心臓へのダメージが増幅するのです。空気の質に目を向け、生活習慣とともに環境面からも心臓を守る意識が求められます。
日々の生活からはじめる予防医学の重要性
心不全パンデミックという社会課題を乗り越えるために求められるのは、病気が「発症してからの治療」を待つのではなく、「未然に防ぐ生活習慣」と「予防医学の観点」です 。

心不全の発症リスクを下げる最大の予防策は、特定の治療法に頼ることではなく、“日常の積み重ね”にあります 。医療を土台に、人々の「生きるを満たす」を追求する桜十字グループが掲げる「WELL-BEING FRONTIER」の考え方にもあるように、病気の治療だけでなく、精神的・社会的に健やかであることも不可欠です 。心臓を守るための基本的な行動として、以下の生活改善を改めて見直し、習慣化することが重要です。

<予防のPOINT>
- 食事:高血圧や糖尿病、脂質異常症を予防するため、塩分や糖質、脂質の過剰摂取を控え、栄養バランスの取れた食事を心がける 。
- 運動:適度な運動を習慣づけ、心肺機能を維持・向上させる 。
- 睡眠:質の高い睡眠を確保し、心臓の休息と体の修復を促す。
- ストレス管理:趣味やスポーツの「応援」などを通じて、孤立を防ぎ、社会的なつながりを持ちながら 、ストレスを溜めないよう心身を休める。

また、家族の健康寿命を守るために、「健やかな生活環境の整え方」と「体のサインに気づくこと」が実践的な提案となります。
- 生活リズムを整える:規則正しい生活は、自律神経を安定させ、心臓への過度な負担を軽減します。
- 体のサインに気づく:息切れ、むくみ、体重の急激な増加など、心不全の初期症状に早期に気づき、迷わず専門医に相談することが、重症化を防ぐ鍵となります。

【小島先生からのコメント】
心不全は、生活習慣や加齢に加えて、環境因子の影響を受けながら進行する“多因子疾患”です。高血圧や糖尿病などの危険因子に環境因子が重なることで発症リスクがさらに高まる「修飾的リスク」の側面もあります。そのため、医療だけでなく、日々の生活環境を整えることが大切です。適度な運動、減塩、質の良い睡眠、そしてストレスの少ない暮らし――これらの積み重ねこそが、心臓を守り、健康寿命を延ばす最も確かな“予防医学”です。

「WELL-BEING FRONTIER 人生100年時代の生きるを満たす」

??https://www.sakurajyuji.jp/well-being-frontier/
2005年、桜十字グループは、熊本県の民間病院の中で最大の病床数を有する「桜十字病院」から始まりました。今では病院のみにとどまらず、医療・介護・予防医療のヘルスケア領域において、社会に必要な様々な事業やサービスを全国に展開しています。「人」は幼少期から成人期、そして老年期にいたるまで、生きることがひとつの「Life Story」として繋がっています。人生100年時代を迎える今、これまで高齢者医療に向き合ってきた私たちにできることは何か。それは、病気やケガを治す身体的なケアだけでなく、精神的・社会的に「生きるを満たす」新たな概念による事業やサービスを提供していくことです。そうして、すべての世代における人生の楽しみや、生きる喜びを支えると共に、その基盤たる社会づくりに貢献いたします。私たち桜十字グループは、時代の変化に対し、進化し続けることで、「カラダの健康」に加え、「ココロのしあわせ」「ひと・マチ・社会のあり方」これら3つを基軸に、QOL(生活の質)の豊かな未来を切り拓く「ウェルビーイング・フロンティア」を目指しています。

会社概要
◎桜十字グループ
創業:2005年7月
HP URL:https://www.sakurajyuji.jp

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