株式会社外国人ドライバー支援機構（以下、当社）は、グループ会社であるミナミカンボジア（MINAMI CAMBODIA CO., Ltd）が運営するドライビングスクールにおいて、日本の教習所の物的基準に沿った教習コースをカンボジアに構築いたしました。日本式の教習コースを海外に整備する取り組みは、当社調べでは国外で初の事例となります。ドライバー不足を背景に外国人ドライバーの需要が高まる中、当社では受け入れ拡大と同時に「安全教育の質の向上」が不可欠であると考え、入国前の現地教育段階から日本の交通ルールや安全意識を前提とした教育体制の強化を進めてきました。本教習コースは、そうした取り組みの一環として整備されたものです。外免切替制度の厳格化といった動きも見られる現在、当社は海外での現地教育と国内の自動車学校による教育を連動させ、安全な外国人ドライバーの育成を進めていきます。

日本の教習所の物的基準に沿って整備された、カンボジアの教習コース

背景：外国人ドライバー需要の高まりと安全教育の重要性
日本の物流業界では、少子高齢化や労働環境の変化を背景にドライバー不足が深刻化しています。その解決策の一つとして、特定技能制度を活用した外国人ドライバーの受け入れが進んでおり、今後も物流を支える重要な担い手になると見込まれています。

一方で、受け入れが進むにつれて、日本の交通ルールや安全意識への対応について不安の声があることも事実です。当社では、こうした課題に対して、人数の確保だけでなく教育の質を高めることが持続的な受け入れには不可欠であると考えています。

東南アジアにおける運転教育環境と課題
カンボジアをはじめとする東南アジア諸国では、日本のように教習所内の専用コースで段階的に運転技術を学ぶ仕組みは一般的ではなく、路上走行から運転を開始するケースが多く見られます。

こうした教育環境の違いは、日本の交通環境や安全基準との間にギャップを生みやすく、日本でドライバーとして就労する際の課題の一つとなっていました。そのため、入国前の段階から日本基準の運転・安全教育を行うことが、より重要性を増しています。

日本基準による教習コース整備の目的
今回完成した教習コースは、日本の教習所が定める物的基準に沿って設計・整備されており、いわば「日本の教習所を現地に丸ごと再現」したものです。坂道、S字、クランクといった課題走行に対応する設備を備えるとともに、コース内には日本の道路標識も設置し、日本の教習所の物的基準を満たす構成となっています。これにより、日本の交通環境を前提とした実践的な運転・安全教育を現地で行うことが可能です。

当社ではこれまでも日本式の運転・安全教育を現地で実施してきましたが、本教習コースの整備により、教育内容の再現性と安全教育の質をさらに高めることが可能となりました。本取り組みは、制度変更への対症療法ではなく、外国人ドライバーの需要拡大を見据えた中長期的な品質向上を目的としたものです。

教習車両と見通しの悪い交差点

日本と同様の標識と坂道

社会の動きとしての外免切替制度厳格化
外国人ドライバーの増加や安全への関心の高まりを背景に、2025年10月には外国免許切替（外免切替）制度の厳格化が行われました。知識試験・技能試験の内容が見直され、合格基準が引き上げられたことで、合格率は大きく低下しています。

このような制度動向は、外国人ドライバーを取り巻く社会全体の流れの一部であり、当社がこれまで重視してきた安全教育の方向性とも一致するものと捉えています。
グループ一体型の教育体制と実績
当社は、海外での教育を担うミナミカンボジアと、国内で免許取得・技能教育を担う南福岡自動車学校をグループ内に有しています。

海外での現地教育から、日本入国後の免許取得・実務教育までを一気通貫で支援する体制のもと、外免切替制度が厳格化された後も、当社が支援した外国人ドライバーは3人中3人が一度で外免切替試験に合格しています。

現地で行われる日本式の運転・安全教育

今後の展望
今後は、本教習コースを活用した現地教育をさらに発展させるとともに、グループ内リソースに加え、全国の自動車教習所との連携を強化し、日本の道路環境に適応した安全な外国人ドライバーの育成を進めていきます。
外国人ドライバーを単なる人手不足対策としてではなく、安全性と品質を備えた物流人材として育成することで、物流業界の持続可能な発展に貢献してまいります。
代表取締役コメント
「外国人ドライバーの活躍が日本の物流を支える時代が現実のものとなる中で、受け入れ拡大と同時に、安全教育の質をいかに高めていくかが重要な課題であると考えています。当社はこれまでも日本式の運転・安全教育を現地で実施してきましたが、今回、日本の教習所の物的基準に沿った初の教習コースをカンボジアに整備しました。これにより、入国前教育の再現性と質をさらに向上させることが可能となりました。本取り組みは制度変更への一時的な対応ではなく、外国人ドライバーを安心して任せられる物流人材として育成するための中長期的な取り組みです。今後も国内外の教育機関との連携を通じ、安全を最優先とした人材育成に取り組んでまいります」。
お問い合わせ・セミナーのご案内
本取り組みの詳細や外国人ドライバー受け入れに関するご相談は、当社ホームページよりお問い合わせください。
また、2026年1月には、外国人ドライバーの安全教育をテーマとしたオンラインセミナーを開催予定です。
会社概要
株式会社外国人ドライバー支援機構
事業内容：外国人ドライバーの採用・教育・免許取得・就労支援
特徴：国内外の自動車教習所・教育機関と連携し、教育から就労までを一気通貫で支援