小倉・旦過市場の「大学堂」(北九州市小倉北区魚町4)2階の「屋根裏博物館」で、カナダ先住民族の暮らしを紹介する「極北の狩猟民カスカ展」が行われている。
約5坪のスペースに、先住民族の狩猟や暮らしを紹介する写真約30点やヤマネコやビーバーなどの毛皮、伝統工芸ビーズ刺しゅうなどが展示されている。
北九州市立大学講師の山口未花子さんは、「大学院生として研究課題を求めていたときに、今でも活発に狩猟を行い、それで生計を立てている民族がいると聞いて調査を始めた」ことがきっかけで、以来何度も足を運んで「動物に関する知識や狩猟の技術、神話や宗教実践について学んだ。人々と動物の関係を明らかにしてきた」という。
北米北部の先住民族としては「イヌイット」がよく知られているが、カスカも同様にモンゴロイド系の風貌が特徴で、自然に対する畏敬の念を持ち合わせ、必要最低限の狩猟を通じて、動物や自然に対して霊的なつながりを尊重しているという。「この展示を通じて、北の大地で今でも繰り広げられている、人間と動物の初源的な関係性に触れていただきたい」と山口さん。
開催時間は10時~17時。最終日となる6月1日14時から、山口さんのほかにアフリカ原住民の象狩り研究をする林耕次さん、現役大学生で鷹遣い(たかつかい)の南香菜子さん、ソロモン諸島のイルカ漁を調査研究した竹川大介さんらとのシンポジウムも行われる。入場無料。