北九州商工貿易会館(北九州市小倉北区船場町)を中心とした小倉の中心市街地を舞台に、8月20日~23日、遊休不動産や地域資源の利活用を提案する「リノベーションスクール」が開催され、全国各地から約200人が参加した。
2011年に始まり、今回で9回目。期間中、10人程度の小グループ8班に別れ、空きテナントが多数を占めてしまったビルや入居者がほとんどいないアパート、人口が縮退して公園など公共空間の維持管理が困難になったエリアなどの具体的な利用方法が提案された。
ほかに、自転車や軽自動車を改造して移動販売車を制作する「モビリティープロジェクト」や、アパートの一室を4日間で改修する「セルフリノベーション」、まちづくりに携わる公務員の意識改革を図る「公務員リノベーション」などのコースも。
これまでにない取り組みとして、「門司港」「八幡」「黒崎」の各エリアを活性化する提案がなされた。「門司港」は観光客の滞在時間が短いことに着目し、港側の観光ゾーンと山側の生活ゾーンの融合を図る事業が提案されたほか、「八幡」は商店街の「積極的なおばちゃんたち」を採用し飲食店や宿泊サービスを構築する提案が上がった。
「鉄冷え」と言われ、製鉄所関連工場が縮退することによって商店街が魅力を失い、メンテナンスが不十分な公園などの公共空間が増えた「黒崎」を題材にした提案では、サバイバルゲームやフットサル、水遊びなど目的別に公園の性格を変え、芝生のメンテナンスやキッチンカーの導入などを民間の事業者を選定して運用する具体的な提案がされた。
市建築都市局の職員は「20年後には80万人台になると予想される北九州市の公共空間を、税金負担を減らしながら活用する案は市でも考察しているが、民間発想の視点が欠けている。市でも提案を積極的に取り入れていきたい」と話した。
主宰者の一人でHEAD研究会・代表の清水義次さんは「魚町から小さな活動として始まったスクールだが、人口縮退する市全体の根本的な課題を解決する大きな取り組みに広がった記念すべきスクールとなった。今後、全国に同様の活動が広がるだろう」と締めくくった。