「サッポロビール」(本社=東京都渋谷区)が6月13日、門司が起源の「サクラビール」復刻版を発売する。
現在、門司駅北西側に位置する「門司赤煉瓦プレイス」(北九州市門司区大里本町3)は、九州初のビール工場として1913(大正2)年に「帝国麦酒」が建設された場所で、合併や分割を経てサッポロビール九州工場となった。昭和初期までの人気商品が「サクラビール」で、門司は交通の要衝でもあったことから国内だけでなく、海外にも輸出され人気を博した。
工場は2000(平成12)年に日田市に移転。残された赤レンガ造りの建物のうち、「帝国麦酒」本社棟は現在「門司麦酒煉瓦館」として、ビール製造の歴史や当時の門司の姿などを伝える博物館として利用されている。
「サクラビール」の成分表は現在も同社が保有し、「門司港地ビール工房」(東港町)が許可を得て復刻したこともある。今回復刻する缶ビール側面には「『サクラビール』を現代風にアレンジしたビール。香ばしいコクとすっきりしたのどごし」とある。
同所を管理運営する、NPO門司赤煉瓦倶楽部代表の竹中康二さんは、「この場所にビールの歴史の礎(いしずえ)となったストーリーがあることがあまり知られていないが、こうした復刻版などを通じて門司の歴史を広めていきたい」と話す。
ビールは、大瓶(633ミリリットル、1ケース20本)換算で21万ケース製造され、全国で販売予定。竹中さんは「地元の酒販店を通じて取り寄せてほしい」と話す。