小倉城(北九州市小倉北区城内2)で現在、天守閣下の石垣調査が本格化している。
調査は2月20日、堀の水を抜くことから始められ、23日には約1メートル水深が下がり、底が見え始めた。市水環境課によると「(行政的には)堀も河川の一部で、生息する魚の調査を行う」といい、在来種や外来種を区別し、「400尾以上いた特定外来種の『ブルーギル』は全て処分する」という。希少な在来種の「カマツカ」や「モツゴ」は工事終了後、堀に戻す。
石垣の調査を行う「北九州市芸術文化振興財団・埋蔵文化財調査室」によると、「城が国や県の文化財として指定を受けていないのは珍しく、小倉城の本来の価値を見極めるために、創建当時から残る石垣の積み上げ技法などを詳しく調査する」といい、3Dレーザースキャナーなどを用いて調べる。「石垣には、補修の跡も見られ、どの石がどのように後から挿入されたものなのかも見極めたい」とも。
調査を見物に来た市役所職員は「小倉城は、文化財の指定を受けることよりも天守閣を市民のシンボルとして再建することが優先された。現在は、インバウンドの観光客らが多く訪れているが、プロジェクションマッピングや音楽イベントで城の価値を本当に高めることができるのか。このままの姿を単純にとどめておくだけでいいのかなど、価値を定めた上で議論の土台となれば」と期待を込める。
採集した魚の種類を尋ねる市民や、堀の水が抜かれた珍しい光景を写真に収める観光客の姿も多く見られる。
調査終了は3月中旬を予定する