「永明寺」(北九州市八幡東区川淵町)住職の松崎智海(ちかい)さんが6月3日、人気マンガ「鬼滅の刃」と仏教との類似性を解く本「鬼滅の刃で学ぶはじめての仏教」を出版した。
「ブックセンター クエスト」では2階「宗教学」コーナーに置かれている
物語の根底に流れるストーリーや登場人物の背景、出現する単語など、「多くの場面で仏教の世界観を感じる」という松崎さん。
第1話の冒頭、主人公・炭治郎(たんじろう)の家族が鬼によって惨殺される姿が描かれている。「始まりは残酷なシーン、耐え難い苦しみからスタートする。仏教の教え『四諦(したい)』の『苦諦(くたい)』が説く『現実は苦である』そのものだ」と言う。
残酷さの原因は煩悩「集諦(じったい)」=鬼、煩悩を滅した状態が理想「滅諦(めったい)」=鬼を滅すれば平和が訪れる、煩悩を滅する具体的な方法「道諦(どうたい)」=鬼を倒す方法を学ぶこと、と「煩悩を滅していく仏教と、鬼を滅していくストーリーという大きな構造が似ている」と、第1話を「四諦」になぞって解説している。
「次々と鬼を生み出した『鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)』は煩悩そのものであり、不変の存在になろうとするその姿は「我執(がしゅう)」である。また、『呼吸』を編み出し伝えようとする『継国縁壱(つぎくによりいち)』の行動は、仏教の開祖であるお釈迦(しゃか)さまの姿に通じる。縁壱の生涯や境遇はお釈迦さまとの共通点も多い」と、登場人物と仏教との関連性を解く。「作者の吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さんは、仏教に精通しているか、深く関わった方だと思う」とも。
松崎さんは同寺院のユーチューブチャンネル「楽しいお寺ch」でも、同マンガと仏教の共通点を3回にわたって解説している。
B6判、222ページ。価格は1,463円。