市民でつくる映画愛好家グループ「北九州映画サークル協議会」(北九州市小倉北区大門2)が今年創立60周年を迎え、「ウェルとばた」(戸畑区汐井町)で10月14日、サイレント映画をピアノ伴奏で楽しむ映画上映会を行う。
上映作品は小津安二郎監督の「浮草物語」(1934年)。「旅芸人一座の哀感と細やかな心情を、淡々とした空間に描いたことで知られる、小津監督の無声映画時代の「代表作」で、今回の上映ではサイレント映画ピアニストの柳下(やなした)美恵さんが即興で伴奏する。柳下さんは「日本で唯一のサイレント映画ピアニストで、ヨーロッパ各地や国内での演奏活動で知られ」(事務局の石井武明さん)、2012年にアカデミー賞(作品賞)を受賞した無声映画「アーティスト」のパンフレット寄稿など活動の場を広げている。
同協議会は、製鉄所労働者や周辺住民にとって映画が唯一の娯楽だった60年前に「八幡映画クラブ」として発足したのが前身で、現在は市民約600人以上が所属する。フィルムからデジタルへと急速に進む映画業界だが、「フィルムしか存在せず、なかなか見る機会のない旧作や秀作を大画面で見たいという会員の要望」で毎月、リクエストによって映画を選び、映画館や配給会社の協力を得て上映会を開催している。会場となる「昭和館」(魚町4)や「小倉コロナ」(西港町)では「半数以上の席が埋まる」という。
「60周年を迎え、映画の原点であるフィルムで、しかも無声映画にこだわって作品を選んだ。なじみのない若い方々にも新鮮に受け止められると思う」と石井さん。
上映開始時間は13時(12時30分開場)。料金は1,500円(前売り1,200円)。チケット予約や会員の募集要項などの詳しい情報は事務局(TEL 093-561-1784)まで。