小学生による「夏休み自由工作、落雁(らくがん)づくり体験」が門司の「高石餅店」(北九州市門司区葛葉1)で8月7日、行われた。
店主の清藤貴博さんが、「らくがん作りを通じて、子どもたちに伝統文化への関心を高めてもらうと同時に、おじいちゃんやおばあちゃんの家に持っていくことで世代間交流の活性化にもつなげたい」と、学童クラブ「すだち」(小倉北区金田2)主宰者の坂本規久子さんに声掛けし、この日は同クラブに通う小学2・3年生7人が挑戦した。
創業110年を超える同店では、毎夏近隣のスーパーなどにお盆向け商品として「らくがん」を出荷しているが、核家族化や伝統文化への関心が薄れていることなどが原因で、年々減少傾向にあるという。「らくがんをお供えしたあとに、食べずに捨てる家庭もある」と危機感を募らせている。
伝統的な菊やタイの模様に加えて、恐竜やトランプのマーク、日本地図など「子どもたちに興味を持ってもらえるように、型にも工夫を凝らした」と、同社にインターンシップとして通う大学生の本村あかねさん。九州大学(福岡市)でデザインを学びながら「自らの企画で人を笑顔にしたい」と、この企画に取り組んだ。
日頃は年配の職人らが作業をする工場内で、子どもたちは協力し合いながら、でんぷんや砂糖を混ぜた粉を型に詰めていく。型にきれいに収まらず型崩れするものもあり、終始、歓声や笑顔の耐えない「工作教室」となった。本村さんは「子どもたちの楽しそうな表情に自分も幸せな時間が過ごせた。将来の仕事に役立てたい」と笑みをこぼす。
清藤さんは「子どもたちがそれぞれの家に戻り、思い出を共有してもらい、帰省のきっかけなどになれば」と期待を込める。