かつて門司のビール工場で製造されていた「サクラビール」が復刻し、3月から門司区の酒販店や飲食店を中心に販売されている。
ラベルは、「門司麦酒煉瓦館」に収蔵されている当時のものをアレンジした
NPO「門司赤煉瓦(れんが)倶楽部(くらぶ)」(北九州市門司区大里本町1)代表の竹中康二さんが「北九州のご当地コンテンツとして『サクラビール』を復刻し、収益の一部を(同NPOが管理する)旧サッポロビール門司工場の赤レンガ建物の保存費用に」と計画し、「門司港レトロビール」(東港町)に醸造を依頼した。
「サクラビール」は、かつて同所にあった「帝国麦酒(ビール)」が1942(昭和17)年ころまで製造していたもので、同社は「財閥解体」や他社との吸収合併を経て、後の「サッポロビール」となった。2000年に閉鎖され「九州日田工場」に統合された後は、同NPOが残された赤レンガ建築の保存と活用をしている。復刻に当たりサッポロビールからは成分表の提供を受け、商標利用の許可も得た。製造は、2011年に行われた「門司港レトロ 大正浪漫(ろまん)百年祭」での限定醸造に次ぐ2回目。
ビール醸造を受け持った「門司港地ビール」醸造部長の峯松幸之助さんは「当時と現代では、酵母菌の作り方や精麦方法など、製造工程がかなり違う。成分表だけでは味の再現は難しかったが、ビール工場で働いていた方から味の印象を聞き取るなどした」と振り返る。再現したビールは「麦芽の香ばしい味わい、赤くあでやかな透明感が特徴のラガータイプビール」という。
料金は500円(330ミリリットル)。酒販店の「田村本店」(大里本町2)や「シマダ酒店」(錦町4)などで取り扱うほか、飲食店「ベアーフルーツ」(西海岸1)、「ファンキータイガー」(港町3)などでも提供している。