小倉のタクシー事業者「勝山自動車」(北九州市小倉北区米町1)が5月7日から、飲食店のテークアウト商品を配達する「勝山イーツ」を始める。
新型コロナウイルス感染症が広がった3月以降、小倉エリアに参入した業界大手の「ウーバーイーツ」や、グループ店の商品をまとめて注文を受ける「ビッグアップルデリバリー」など、食品デリバリー事業が注目を浴びている。
メニューを提供する「御肉 平川」(馬借2)店主の平川靖之さんは、「持ち帰りメニューを開発したが、取りに来てもらうことがネックだった。近くなら自ら配達するが、新たな設備投資もできず、遠くのお客さまの対応が難しかった」という。
同じく、メニューを提供する「うどん秋月」店主の時津雄大さんは、「大手の配達サービスが便利なのはわかるが、知らない人に運んでもらうより、知っている方に自分の味を届けてもらいたい」と取り組みへの期待を話す。
提供するメニューは、「御肉 平川」=「黒毛和牛すき焼きセット」(5,400円)、「うどん秋月」=「黒ごま担々鍋セット」(3,600円~)など。
「勝山自動車」社長の廣石敏文さんによると、「通常の乗車料金とは異なった配送用の料金を設計し、国土交通省の許可を得た」という。配送料金は、2.5キロメートルまで1,000円、4.5キロメートルまで1,500円(以降2キロメートルごとに500円追加)とした。
客が各店への注文時に「勝山イーツ」利用を申し出ることでタクシーを呼び、近くの運転手が代金を立て替え商品をピックアップする。商品到着時に、客が商品代金と配送料を支払う仕組みとなっている。時津さんは、「注文の合計金額や、数カ所の配送をまとめるなどしてコストダウンし、配送料金を吸収する仕組みを考えていきたい」と期待を込める。
廣石さんは、「(自社は)経済産業省の『おもてなし規格認証』を受けるなど、接客教育には力を注いでいる。いろいろなものを運ぶ事業として可能性を模索したい」とも。