戸畑のすし店「照寿司(すし)」(北九州市戸畑区菅原3)店主・渡辺貴義さんが11月9日、農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」ブロンズを受賞した。
11月9日、野上浩太郎農林水産大臣から賞状を授与される渡辺貴義さん
同制度は、日本の食文化の素晴らしさや奥深さ、その魅力に誇りとこだわりを持ち続け、生産者や食品企業などとの協働を通じて、地産地消や食文化普及への取り組みに尽力した料理人をたたえるもの。2010(平成22)年に始められた。北九州市内からは初の選出で、福岡県内からは2人目。
応募は、市企画調整局地方創生推進室による推薦によるもので、ブロンズ受賞後5年ごとに自薦・審査を経てシルバー、ゴールドとステップアップする。
自ら経営する店のほか、ニューヨークや東京への「出前調理」も行ってきた渡辺さん。「各地で、北九州の食材の素晴らしさや、生産者との交流を通じて得た(生産者の)思いや工夫などのストーリーも伝えるようにしている」と言い、その活動が評価されて「北九州市観光親善大使」にも任命された。
渡辺さんによると、「(小倉北区の離島)藍島(あいのしま)の漁師に、サワラの鮮度を保つために漁師自ら船上で血抜き加工することを提案した。一般的にそれほど価値が高くないサワラを、鮮度を保ち、おいしく流通させ、高付加価値化したことで、不要な乱獲を防ぎ水産資源も保てる。『藍鰆(あいのさわら)』としてブランド化に貢献したことなどが評価された」という。
「自分の決めポーズも世界各地のすし店でまねされている。このスタイルを邪道とやゆする人もいるが、続けていれば伝統になる。お客さまに照寿司オリジナルの体験を味わっていただくために、北九州の食材にこだわっていきたい」と意気込む。